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映画 羊と鋼の森

2018.06.25 Mon

ピアノ調律師が主役の映画 「羊と鋼の森」を観てきました。



以前に本は読んでいたのですが、映像となるとまた違ったおもしろさがあります。本で読んで想像していたところと合うところが多く楽しめまし
た。

https://youtu.be/cVmuY0DZSlk

主人公の山崎賢人くんも役柄ぴったり。コンサートチューナー役の三浦友和さんがよい雰囲気出してました。

ピアノには羊が住んでいるとの事でしたが、実は猫も住んでいます。

ウニャウニャ言ったりしているのですが、それをどのように調整するのかによって音色が変わってきます。

詩的表現が絶妙な感じで自分にはあまりない感覚だなぁと思ったり、いろんな面から勉強にもなりました。


それにしても映画館のアナウンスで…

ご案内致します、5番スクリーンにてご上映予定の゛万引き家族゛8番スクリーンにてご上映予定の゛家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています゛10番スクリーンにてご上映予定の゛羊と鋼の森゛のと聞こえてきて毒々しいタイトルが多い中でほっとするような映画タイトル。





映画の内容には触れられないので…
昨今の調律師の業界事情を少し。

この映画を見て調律師を志そうと思う人が増えるのは良い事ですが、あまり憧れだけで踏み込むのは後々困るかなと思います。

僕が調律師を目指した20年ほど前でしたらまだなんとかと言う感じもありましたが、そこからは年々厳しくなっていきました。

日本のピアノの歴史の中で僕らが子どもの頃がピークでした。その頃は納入調律が半年待ちとかもざらにあったらしく調律師も足りていなかったんだとか。楽器店時代よくその頃の自慢話を先輩がたに聞かされました。

その栄枯盛衰を見てきたしそれをもろに肌で体感してきました。


音楽業界が斜陽になっていったのはいろんな理由があり、他の業界同様な部分もあるのですが、それ以上に方向転換や進化が困難な事情があります。

それはピアノやクラシックはもうすでに完成されているものであって電化製品や車などのように新しいものが出てくるものではないと言う点です。

新しいものをいくら出してもそれは完成されたものの模倣品や代替え品に過ぎないのであってそれを超えることはできません。

良いものを更に深めていかなければならないのに維持ができないばかりか品質の低下は目にあまる状況…

今は良い羊がいないのかもしれけれどそれにしても、だ。


良いものをいかに守っていくのか、その文化が根付いていない日本の楽器業界はどうしたらよいかわからなくなっています。

ほんとうの演奏家の求めるものとの乖離が進み、電子ピアノとアコースティックの区別がなくなってきている。

音色のよくなった電子ピアノと現代の音色の変化のつけられないピアノとの差別化は困難。

綺麗に鳴っているけれどその一本調子でお腹満腹になり飽きてくる音色。美人も3日で飽きるとはこの事でいろんな表情を見たいと思ってしまう。化粧で塗り固められた音は変化に乏しい。

誰が弾いても同じように聞こえるのは造り込み過ぎているが故か。不完全でもっと遊びがあっていいと思う。

もっと深刻なのはそれがわかる人間が少ないと言う事で、電子ピアノで良しとなるしそれを売る人間も教える人間も明確な確信がないと言う事。

高度経済成長のなか新品がおもしろいように売れた時代がありメーカーや楽器店がその波に乗って乱立した。

新品が売れなくなってくると中古業者が台頭し財を築いた。

それで、そのあと、はどうなるか、これから世に出てくる調律師は短期間での経済的な成功は不可能に近い。

先の事を何も考えてこなかった業界の成れの果て… まさに今直面している現実。

メーカーは国内に見切りをつけ海外に出て行っている。アジアを新たな市場としてピアノを売りまくり、次はインド、アフリカへと目が向いている。資本主義経済のなかで新たな土地を食いつぶすまで増大し続ける。

全て食いつぶしたら宇宙へでも出るつもりだろうか? しかしそれが資本主義の原理。


置き去りにされた調律師は海外へ出ていくかしないと食ってはいけない。


今や調律師は″絶滅危惧種″と言っても過言でない。


新たな時代を生きるこれからの調律師はどうすればいいのか?

国内でやっていくにはこれまでの考えを転換させる必要がある。

調律師は過去からある価値あるものを維持修復に力を注ぐ必要がある。

より技術的に高度なものが求められる。

そして演奏家から多くを学ぶ必要がある。技術者が良いと思う音と演奏家が求めるものは違う、ことが多い。

自分たちは良いものを作っているはずだとの思い込みは危険。
ホンモノの演奏家の意見を取り入れる必要がある。


考えようによってはやり甲斐のあるとてもよい時代だと僕は捉えているのだけれど、それがみえていないと苦しいばかり。

今後もう持ちこたえられなくなり倒れる楽器店が更に増えていくと思う。

映画のような小さいながらも人を大事にしぬがら地道にやっているようなところは残っていけるかもしれない。残念ながらそういうところが皆無と言ってもよいのが残念な状況なのだけれど、それが現実であって映画のように幸せな状況はないと言ってもよいかもしれない。

現在どこも仕事ができる人がいない人材不足な状況で、仕事はそこまでないからなんとかなるかもしれないけれど発展は見込めないところが多い。
人材を育てる事をしてこなかったのでベテラン層がぽっかり抜けている。
僕の世代は特に顕著で調律学校に50名ほどいても続いているのは5名とかそんな感じなのだ。


かなり厳しい業界であることは間違いないです。

僕が調律師になろうと思ったときに相談したかたにはやめておいたほうが良いと言われたのですが、そこにはいろんな意味があると今は理解できる。

僕が今学生さんに聞かれたらよい仕事だよと勧めるだろう。

しかし辞めておいたほうが良いと言われてもやるんだと思うような人間でないと続かないのも事実かもしれない。

今回の映画が業界として期待されているのは間違いないと思うし、業界としては藁をもすがる気持ちだと思う。


医学会のイメージアップのために医療ドラマは多額の資金をバックアップされているし、それはいろんな業界でなされていること。

今回はY社が全体に渡りいろんな場面でうまくアピールしていたなぁと、、


たまたま出てきた原作に乗っかったような事でしょうが、業界的には根本的な解決にはならないと思う。

原作がとても良いので純粋に見ればヒューマンドラマとして胸の熱くなるものがあり良いものでした。

演奏者と心を繋ぐじゃないけどそんな初心を思い出させてくれたのです。

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