ヒュッツナー(HÜTTNER)木目ピアノ修理
ヒュッツナーピアノの修理、調整を行いましたので記録しておきたいと思います。

このヒュッツナーピアノのアップライト、これまでも何台か修理を手がけてきましたが今回の木目タイプは初めて。
飾りなどもところどころに付いておりなかなか見ない逸品です。
今回は外装はきれいなため、お客さんと見積もりの際お話して外の修理はなしで中のアクション調整中心の作業となりました。従って工房へは入れずお客様宅での作業が可能となりお時間いただき作業してきました。
その前に本体は良かったのですが、鍵盤のフェルトが虫に喰われていたため張り替えることになり工房に持ち帰り修理してきました。


イガ及びヒメマルカツオブシムシと呼ばれる洋服ダンスの中にも入っている小さな米粒大くらいの虫が入りフェルトやクロスをボロボロにしてしまいます。
ピアノの場合ネズミを除いては木に被害が及ぶようなことはないのでフェルト類を交換すればまた鍵盤の動きも正常になります。
放っておくと鍵盤の動きが不安定になるだけでなく木部までも傷める恐れがあります。
修理した鍵盤を持って現地へ。今回は5時間に及ぶ手術となりました。
まずは内部の清掃からです。ホコリが多いと作業の妨げになるだけでなく稼働部にたまり動きが悪くなったりします。特に過去に潤滑剤などが塗られていると尚更です。

鍵盤の下も綺麗に掃除をしたら鍵盤を取り付けるバランスピンと呼ばれる真鍮の棒を磨きます。これに錆などが付着していると鍵盤の動きが悪くなります。

今回は錆が比較的少なく磨くと綺麗に光りました。

アクションの調整、各部のネジ締めを行います。長年の使用や環境により緩んでいるネジがほとんどです。動作不良になったり雑音の元にもなります。

ダンパー関係の部品、ダンパーロッドと呼ばれる金属製の長い棒を磨きます。こちらは手間のかかる作業ですが、普段の調律時にはなかなかできない作業で重要な箇所なのでしっかりと磨きいれます。
こちらも錆てくると雑音や動作不良をおこします。

ハンマーの雑音処理もしました。接着力がなくなり緩んでいました。
そして鍵盤の高さや沈みこんだときの深さ調整。専門用語で言う整調作業を施します。こちらもひとつひとつの工程は地道で手間のかかる作業ですが、しっかりとやっておくとタッチの均一性と音色にも関係してくる大事な作業です。調律と同等、いやそれ以上に大事な作業とも思っています。
それだけに最も時間のかかる調整作業です。


外装関係は椅子のお掃除と油さし、動作確認、そしてペダルを磨きました。


調律を2回ほどして音を引き上げます。
大きく下がっているため慎重にチューニングピンをまわし弦を引き上げていきます。

今回のピアノは珍しい外装でした。お部屋の雰囲気にも合っていてインテリアとしてもよい雰囲気のピアノ。
音も良くなるようになりこれから楽器としても使っていってもらえるのが嬉しいことです^ ^



このヒュッツナーピアノのアップライト、これまでも何台か修理を手がけてきましたが今回の木目タイプは初めて。
飾りなどもところどころに付いておりなかなか見ない逸品です。
今回は外装はきれいなため、お客さんと見積もりの際お話して外の修理はなしで中のアクション調整中心の作業となりました。従って工房へは入れずお客様宅での作業が可能となりお時間いただき作業してきました。
その前に本体は良かったのですが、鍵盤のフェルトが虫に喰われていたため張り替えることになり工房に持ち帰り修理してきました。


イガ及びヒメマルカツオブシムシと呼ばれる洋服ダンスの中にも入っている小さな米粒大くらいの虫が入りフェルトやクロスをボロボロにしてしまいます。
ピアノの場合ネズミを除いては木に被害が及ぶようなことはないのでフェルト類を交換すればまた鍵盤の動きも正常になります。
放っておくと鍵盤の動きが不安定になるだけでなく木部までも傷める恐れがあります。
修理した鍵盤を持って現地へ。今回は5時間に及ぶ手術となりました。
まずは内部の清掃からです。ホコリが多いと作業の妨げになるだけでなく稼働部にたまり動きが悪くなったりします。特に過去に潤滑剤などが塗られていると尚更です。

鍵盤の下も綺麗に掃除をしたら鍵盤を取り付けるバランスピンと呼ばれる真鍮の棒を磨きます。これに錆などが付着していると鍵盤の動きが悪くなります。

今回は錆が比較的少なく磨くと綺麗に光りました。

アクションの調整、各部のネジ締めを行います。長年の使用や環境により緩んでいるネジがほとんどです。動作不良になったり雑音の元にもなります。

ダンパー関係の部品、ダンパーロッドと呼ばれる金属製の長い棒を磨きます。こちらは手間のかかる作業ですが、普段の調律時にはなかなかできない作業で重要な箇所なのでしっかりと磨きいれます。
こちらも錆てくると雑音や動作不良をおこします。

ハンマーの雑音処理もしました。接着力がなくなり緩んでいました。
そして鍵盤の高さや沈みこんだときの深さ調整。専門用語で言う整調作業を施します。こちらもひとつひとつの工程は地道で手間のかかる作業ですが、しっかりとやっておくとタッチの均一性と音色にも関係してくる大事な作業です。調律と同等、いやそれ以上に大事な作業とも思っています。
それだけに最も時間のかかる調整作業です。


外装関係は椅子のお掃除と油さし、動作確認、そしてペダルを磨きました。


調律を2回ほどして音を引き上げます。
大きく下がっているため慎重にチューニングピンをまわし弦を引き上げていきます。

今回のピアノは珍しい外装でした。お部屋の雰囲気にも合っていてインテリアとしてもよい雰囲気のピアノ。
音も良くなるようになりこれから楽器としても使っていってもらえるのが嬉しいことです^ ^


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- 2014.10.29 (水) 12:17
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- M.O
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はじめまして ♪
ヒュッツナー(HÜTTNER)検索で, こちらの素敵なサイトに来る事ができました。
広いネットの中で, 画像が見られ, 楽器にこんなにも愛情を持たれた解説と共に紹介されていたのは, ただひとつ・・
こちらだけでした
嬉しくて涙がこぼれそうです。
私も自宅マンションで, このピアノを使用し, 近所の子ども達にレッスンをしていた時期があります。
実家には, YAMAHAのアップライトや, グランドピアノがあり子どもの頃から親しんで来たのですが, 私の一番のお気に入りは, このヒュッツナーでした。
しかし, とても悲しい事に, 私の長期留守中に, 無断で手放されてしまった事実を昨日知らされました。
あまりのショックで, 気も動転する思いで一晩明かし。今はただ, 一目見たい一心でこちらに・・
そこで, 教えていただけたらと思うのですが, この東海楽器さん
(間違っていたらすみません)
の可愛らしく品の良いピアノの価値は, 今どれくらいなのでしょうか?
できれば, 探し求めて買い戻したいと思っているのです。
新品は, もう, 製造もされていないかもしれませんね・・
装飾が施され猫足の可愛いピアノ
製造もされていないとなると, 稀少な品になってしまっているのかもしれないですね。
せめて価値だけでも知る事ができたなら・・
初めての投稿で, 不しつけな質問をさせていただき申し訳ありませんが
音楽と楽器を愛していらっしゃる, 更家さんの
このピアノに関する事なら何でも結構ですので, お教えいただけないでしょうか・・
どうぞ, 宜しくお願いします。
長文で失礼しました。
これを機会に他のカテゴリの記事等, 読ませていただきたいと思います♪
本当に, 記録としてこの記事を書いてくださった事に感謝申し上げます!
ありがとうございました!
Okamoto様、当ブログへご訪問いただき、あたたかいコメントまでいただきありがとうございます。
大切な想い出のあるピアノを処分されてしまったこと、ピアノ好きとしてその悲しい気持ちが伝わってくるようです・・
ヒュッツナー(HÜTTNER)ピアノですがこれまで3台お目にかかり調整させていただきました。いずれも外観が異なるもので、
艶有り黒のネコ足
艶有りマホガニーのネコ足
艶消し木目のネコ足(この記事のピアノ)
と言う具合です。いずれも修理を施すことにより小型ピアノとは思えないような音色を出してくれました。他のブランドの小型ピアノと比べて低音から高音までバランス良くほんとうによく鳴ってくれます。響板など木の材質が今のピアノに比べよいものを使っていると木材の専門家のかたもおっしゃっていました。
また音色だけでなく外観もヨーロッパスタイルと言うか、そばに置いて愛着もてるもので私も好みです。
製造していた東海楽器製造は今はなくなってしまい残っているピアノがどれほどあるのか定かではないですが、大手メーカーと比べて極めて少ないと思います。
しかしながらその市場価値はと言うとピアノ自体の価値と比べ評価が低いのが現状です。日本のピアノ市場ではブランド名が重要視され、楽器自体の素材や音色と言ったものとは別のところで評価されているのが実際です。楽器店の立場から見れば売りやすいピアノかどうかが値段が高いかどうかの基準となっています。おかしなことです・・
ヒュッツナーのほかにトーカイと言うブランド名でも同じ型のピアノを製造していました。中身はほぼ一緒と言ってもよいです。
現在倉庫のほうに艶有りマホガニーのネコ足ヒュッツナーを所有しています。(正確には別に運営しているレンタルピアノの会社所有となっています)
他にトーカイが2台ありますが現在2台ともレンタル中です。みなさん音色を気に入って借りていかれます。
艶有りマホガニーのネコ足ヒュッツナーのほうはコンサートレンタル用ですので、貸出日以外でしたらいつでも倉庫にて試弾していただくことが可能です。想い出のピアノが帰ってくるわけではないですが、気が向けば会いにきてやってください。
この記事がお役に立つことができて嬉しいです。Okamoto様のブログも素敵ですね。また読ませていただきます(^^
- 2014.10.30 (木) 13:31
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- M.O
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ありがとうございました!
昨日の今日・・というか、昨日のうちにお返事をいただいていたのですね@@"
このように大変早いお返事をいただけて、何とお礼申し上げて良いのか・・ 本当に心よりお礼申し上げます!
このコメントは、この後もっとつづくのですが、不正な投稿と判断されてしまい、投稿できませんでした。
で、表示もされず・・
何かいけない言葉でも遣ってしまったのでしょうか?
すみません。どうしたら良いものかと・・
試しにこれだけの文章で、再度送信してみます。
原因を教えていただけると助かります。。;
- 2014.10.30 (木) 13:38
- URL
- M.O
- [ edit ]
前のが送信できましたので、続き部分を書いて送信したのですがやはりだめでした。
長過ぎるからでしょうか? 少し削って送信してみます。
***
やはり・・ このようなサイト運営をされている方ならではの、描いていた通りの、温かで優しいお返事内容に感激でした。
更家さんに、私の悲しい気持ちをお察しいただけたこと・・
私は今、もうそれだけで、昨日までのショック状態から解放されたような・・
穏やかな温かさで、救っていただいた・・ そのように感じられて、幸せな気持ちになっています。
確かに、ピアノ業界はYAMAHAを代表とするような、また海外の有名ブランドなどが重要視されていますね。
勿論、そうした中には名実共に素晴らしい名器もある事でしょう。
ただ、更家さんのように、内部構造に精通されている方から見れば、市場価値、市場評価の低い楽器の中にも、"本物"がある事がお分かりになるだけに、歯がゆいものがあるのでしょうね。
修理・調整・調律をされる方にのみ分かるのですね。
そのようなことに、これまで私は少しも気づきませんでした。
繊細で素晴らしいお仕事に就かれていらっしゃると思います。
私の失われたヒュッツナーに再び逢える事はもはや無いのかもしれませんね。
しかし、心のメモリーカードに沢山の思い出があります。
ピアノに"さようなら"も"ありがとう"も言えないまま別れてしまった事・・
それだけが悲しくて、涙がこぼれます。
***
私のblogを見ていただけたようで、嬉しく思いました。
誰かのお役にたてるようなものでもなく、ただ日々の事を書いているだけなので、恥ずかしく思いますが、遊びに来ていただければ大歓迎です(^^:
- 2014.10.30 (木) 13:45
- URL
- M.O
- [ edit ]
できました^^;
すみません。何をやっているのかと混乱されてしまいますね。
では、後少しを書いて送信してみます。
実は本家(HP)は別にあります。
google で作ったのですが、blog とは異なり編集にやり難い部分があって、作りかけ・・ 更新もなかなかできずにいます。
アドレスを書いたら送信できませんでしたので、私のblogの方で確認していただけると嬉しいです。
そう言えば、あの後。youtube で更家さんの"乙女の祈り"を聴かせていただきました。
懐かしい思い出がよみがえって、調子に乗ってあちらにもコメントを入れさせていただきました。^^;
昨日につづき、長文コメントになってしまいました。。
昨日緊張し、ドキドキしながらも、こちらにコメントを入れさせていただいて、本当に良かったです・・
自分の勇気を褒めてやりたいくらいです(笑 sumimasen...
分割コメントになってしまった事をお詫びしますーー;
Okamotoさん、本家ホームページのほうも拝見いたしました!ヨーロッパの街へきたような気分にさせてもらえるデザインと内容で興味深いものです。詳しい説明書きがあり私のホームページも見習いたいと思いました。
youtubeの演奏も聴いていただきありがとうございます。演奏のほうは趣味ですので完成度が常に低いものですが、またこれからもがんばりますのでまた聴いていただければ幸いです。
Okamotoさんの自作曲の音源聴いていて癒されます。私のなかで作曲できるかたはひたすら尊敬です。海外の写真も大好きなのでまたじっくりと拝見したいと思っています。
あと短歌も素敵でした。と言うよりも短歌の魅力に気付かされた思いです!コメントくださったことで世界がひろがり感謝しています。
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プロフィール
Author:Masayuki Saraie
SARA PIANO
珈琲とピアノと猫をこよなく愛する
ピアノ調律師 更家雅之
楽器が求め、演奏者が求めるベストな状態へ
音の職人、更家雅之の日記や想い
ピアノや音楽、日常を通して出会う人たちとの 交流から日々考えさせられ思ったことを、日記を中心に更新中。
音楽はどんなジャンルでも大好きで聴くこと演奏することが趣味
音楽と歩んできた人生、辛い時、楽しい時、そばにはいつも音楽がありました。音楽によって救われた時期も。
そしてピアノを弾くと心が落ち着きます。
近年、調律や音楽が心に及ぼす影響を研究中。
音楽は心の世界への扉 、そして心そのもの。
ピアノ、音楽を通してこの時代に”心豊かに生きる”を実践しています。
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