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ベーゼンドルファーを弾いてきました

先日ウィーンのピアノベーゼンドルファーをホールで弾いてきました。

ピアノ好きと企画してホールを貸し切って思いきり弾くと言うなんとも贅沢なものですが、公共ホールの使用料がリーズナブルなところを仲間が見つけてくれたのです。



ベーゼンドルファーとはヨーロッパウィーンで製造されている高級ピアノです。




1828年創業。イグナーツ・ベーゼンドルファーさんが音楽の都ウィーンで始めたピアノ製造会社。

ウィーン学友協会に入居していて伝統的なヨーロッパのピアノ、一台一台手作業により一年以上かけて作られます。

最上位のフラッグシップモデルは290cmのボディを持つインペリアルと呼ばれるもので、鍵盤数を97鍵備えています。(通常88鍵盤)

今回のピアノは225cmのモデルですが、鍵盤数は92鍵。

低音側の弦が多く張られていて、それが他の音を弾いたときも共鳴して全体的に響きが豊かになるとのコンセプトです。

それだけの手間のかかっている楽器なのでもっと値段的な価値もあると思うのですが、インペリアルでも2千万ちょっとです。
もちろん私はそんな高価なもの買えませんが、ヴァイオリンの名器と比べれば値段の桁が違うので安いと思います。

材料や部品数はピアノのが桁違いに多いのに、、

それでもだんぜん高価なピアノですので経営的にはなかなか厳しいらしく(これまで製造されたピアノは5万台弱とヤマハの100分の1)2008年には日本のヤマハに買収されました。

http://boesendorfer.jp

http://www.boesendorfer.com




公共のホールにはコンサートグランドと言う長さ3メートル弱のグランドピアノがあるのですが大抵はヤマハ、カワイ、スタインウェイと言ったブランドが常備されてます。

今回のベーゼンドルファーがあるホールはあまりないのです。


普段あまり弾くことのないピアノと言うことで演奏者側からの新しい発見が多々ありました。

ベーゼンドルファーと言うピアノは私の印象は”鳴らない”と言うものですが、ほんとにヤマハやスタインウェイと比べて音が飛ぶ感覚が感じられません。

なにか力を入れて弾こうとすればするほど響かない、拒絶されるような感覚。

特にベートーヴェンはあの和音の響きがまったく活きてこない、倍音が出てこないので物足りなく感じるばかりでした。

ショパンやモーツァルトと言った単音での美しさが際立つ曲ではその能力がいかんなく発揮されていたかと思います。

イージーリスニング系のメロディが際立つものも、きれいにウィナートーンと呼ばれるベーゼンドルファー独特の音色が響いていました。


そして今回特に感じたのは、2時間経ってようやく楽器が鳴ってきたと言うことです。

それはベーゼンドルファーだけでなく他のブランドのピアノでも言えることなのですが、ある程度弾きこまないとその楽器の持つほんとうの音色は出てきません。

それまではほんとに寝ているかのようです。

弦からの振動が楽器の隅々まで伝わるのに時間がかかるのでしょうか。アコースティック楽器はまさに生き物ですね。



そんな気難しいベーゼンドルファーを鳴らすには、音をホールの端まで飛ばすにはどうすればよいのか?

今回私を含め参加したそれぞれが曲ごとに異なるタッチでピアノを弾いて、どうやら力をあまり入れずに響かせる弾きかたのがよく鳴る方向だと言うのをつかめました。

私が注目しているロシア奏法のような弾きかたであれば効果的に鳴らせそうです。



余談と言うか、一昔前のベーゼンドルファーの音色についての情報を聞く機会があったので参考までにシェアしたいです。
ある演奏家のかたが昔のベーゼンドルファーは今のものと違うとおっしゃってまして、何が違うかと言うと音色、タッチが異なると。


タッチは今よりもコントロールし難いものであったようで、なかなか思うように反応してくれなかったようです。

音色のほうは当時の音源を聴かせてもらえたのですが、その音色は今よりもダイナミクスがあると言うか、高音が華やかで中音はまさにベーゼンドルファー独特の音色これぞウィナートーンと言った感じ。低音は今と同じような深みを感じました。

全体的にパワーと言うかエネルギーを感じるもの。4、50年前のことになるかと思うのですが、ある時期から現代のような音色、タッチに変わったようです。

タッチが変わったと言うことはアクションが変わったと言うことで、それが音色にも変化を及ぼしたのでしょう。



現在は日本のヤマハの傘下にあるため、楽器自体今後どのようなものになっていくのか期待と心配が入り混じった気持ちでいます。

弾く曲がピアノによって選ばれてしまうのでなかなか受け入れられないピアノですが、個性あるピアノとして残っていって欲しいものです。

最後に横浜での楽器フェアで最新のベーゼンドルファーを指弾してきたときの動画です。演奏が素人で恥ずかしいかぎりですが・・ 最近のベーゼンの音色を確認できるかと思います。




  
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プロフィール

Masayuki Saraie

Author:Masayuki Saraie
SARA PIANO

珈琲とピアノと猫をこよなく愛する

ピアノ調律師 更家雅之


楽器が求め、演奏者が求めるベストな状態へ

音の職人、更家雅之の日記や想い

ピアノや音楽、日常を通して出会う人たちとの 交流から日々考えさせられ思ったことを、日記を中心に更新中。


音楽はどんなジャンルでも大好きで聴くこと演奏することが趣味

音楽と歩んできた人生、辛い時、楽しい時、そばにはいつも音楽がありました。音楽によって救われた時期も。

そしてピアノを弾くと心が落ち着きます。

近年、調律や音楽が心に及ぼす影響を研究中。

音楽は心の世界への扉 、そして心そのもの。


ピアノ、音楽を通してこの時代に”心豊かに生きる”を実践しています。

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