アクションを引き取ってきたドイツ製のピアノPRÜCHNER。はじめてお目にかかるピアノです。
日本のピアノと異なる部分が多々見られましたが技術者魂が燃えました。
pruchner posted by
(C)sarapianoどこもかしこもガタガタ。そこかしこに直した跡が見受けられるのですが、まともな修理はされていません。
ドイツ製 PRUCHNER アクション posted by
(C)sarapiano
PRUCHNER ハンマー posted by
(C)sarapianoアフリカから持ってきたピアノとのことですが、世界的にみるとまともな調律サービスが受けられるのはまだ一部なのだと思います。海外の情報を得ると先進国でさえなかなか腕のある調律師は少ないと言うことはあると思います。
もちろん調整においても上には上の世界がありますが、今回はとりあえずまともに鳴るようにがんばって調整します。
アクションはこのとおりカビカビで修理したと思われる色とりどりの部品が不揃いに付いていました。
PRUCHNER アクション 修理前 posted by
(C)sarapianoまずエアコンプレッサーの強烈な空気圧でホコリやカビを吹き飛ばします。
エアー掃除 posted by
(C)sarapianoセンターピンがほとんどスティックと呼ばれる不具合を起こしているため交換。まずはハンマーアッセンブリーをすべて外します。
”スティック”とはアクション部の関節となる部分が硬くなり動きが悪くなっている状態です。
PRUCHNER ハンマー取り外し posted by
(C)sarapianoセンターピンの交換作業。88鍵、ほぼすべて交換したので疲れました。細かい作業で神経使いますが、回数をこなしてきてるので以前よりはスムーズに終えることができます。
センターピン交換 posted by
(C)sarapianoこの飛び出ている細いピンがセンターピン。1.2〜1.5ミリ程のものです。
センターピン posted by
(C)sarapiano
工房作業の様子 posted by
(C)sarapianoこんな感じでやってます。ひとつひとつ分解して修理するのはあまりやらない作業です。効率悪くて仕事として利益が出づらいこともありここまでやる人はあまりいません。しかもこの手のピアノは分解するとあれもこれもと修理箇所が増えていきます。
あまり人がやらないことをやっていくのがひとつのウリと思ってやってます。まあ、でも要は好きなんです。こういう作業が(笑
これはフレンジのブッシングが取れてしまった画像。
接着が弱くなってきていてポロっと取れてしまうものが多発。センターピン交換をしていて最も面倒でショックの大きい状態です…
pruchner posted by
(C)sarapiano気を取り直しブッシングクロスを張り替えている様子です。3ミリほどの穴に通して接着します。
ブッシングクロス posted by
(C)sarapiano接着して完全に乾かした状態にし余分な部分を切り落とします。
ブッシング切り落とし posted by
(C)sarapiano
ブッシング切り落とし posted by
(C)sarapiano新しく張り替えたクロスを研磨し穴の大きさを調整します。ここに役1.3㎜ほどのセンターピンが通るための適度な大きさにしなければなりません。
ここの具合によりハンマーがスムーズに可動するかが決まります。
ブッシング張替え posted by
(C)sarapianoこのピアノ、バットスプリングが変わった形状をしていましてスプリングコードが見当たりません。
これは折れたスプリングを取り除いたところです。
スプリング折れ posted by
(C)sarapianoなんとか修理できました。中の細い穴にスプリングを通して固定させるタイプ。国産では私はこれまで見たことありません。
特殊スプリング posted by
(C)sarapianoウィペン部分も88鍵すべて外しスティックを直します。関節にあたるフレンジ部が硬くなっていて動きが悪くなっていた、どころか硬過ぎて動かなくなっていました。
ウィペン取り外し posted by
(C)sarapiano古くサビて動きが悪いセンターピンを交換。
ウィペンセンターピン交換 posted by
(C)sarapianoこのピンが動き悪くなっていました。
ウィペンセンターピン posted by
(C)sarapianoこの細いピンがピアノのタッチ感に重要な影響を及ぼします。
センターピン posted by
(C)sarapianoジャック部分のセンターピンも悪いものは交換。ひたすらセンターピンを変えるのはなかなか骨の折れる作業です。これであとはまた元通りに組み立てます。
ジャックセンターピン posted by
(C)sarapiano組み立ての前にカビやほこりをきれいに除去。ふだん届かない部分まで掃除機やエアを使い掃除します。
アクション清掃 posted by
(C)sarapianoダンパーのロッドも取り外し磨きます。といつものように外したところグリスがべっとりついていて磨く感じではなかったためそのまま戻しました。初めてのケースですが動きはスムーズでした。
ダンパーロッド posted by
(C)sarapianoダンパーのクロスもところどころ剥がれてきていて確認して接着。ここもカビやらひどいので張り替えしたいところですが予算オーバーのため現状維持。しっかり可動はします。
ダンパークロス posted by
(C)sarapianoハンマーアッセンブリーを取り付けようとしたらネジの締め付けがうまくいかないいわゆるバカネジが発生。埋め木をします。
うめ木 posted by
(C)sarapiano
ハンマー取り付け posted by
(C)sarapiano無事ハンマーを取り付け終わり、まっすぐに可動するよう走り調整をします。
ドイツ製 PRUCHNER アクション posted by
(C)sarapianoこのようなのり紙を使い傾きを修正していきます。根気のいる作業です。
ドイツ製 PRUCHNER アクション posted by
(C)sarapianoウィペンを一本一本取り付けていきます。
ドイツ製 PRUCHNER アクション posted by
(C)sarapianoこれが整形前のひどい形したハンマー。卵形のきれいな楕円になっていません。
ドイツ製 PRUCHNER アクション posted by
(C)sarapiano整形後。なんとかよくなってきましたが削り過ぎないようにほどほどでとどめました。本来ならハンマー交換が必要なレベルです。
ドイツ製 PRUCHNER アクション posted by
(C)sarapiano断線していた低音弦を張り替え。張り替えたところだけ金ピカになります。
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(C)sarapiano雑音が発生していたため低音弦を緩めて金属の棒を引っこ抜いてます。けっこう圧力がかかっていて力が必要で大変でした。
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(C)sarapiano結局雑音は軽減されましたが、弦自体が鳴っているものもあり、いわゆるジン線と呼ばれるジンジン鳴るものを直しました。これが大変です。
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(C)sarapianoアクションの調整、パンチングの上に薄いフェルトパンチングが重ねてあり、これではタッチが不安定になるため交換します。部品がなかったのでしょうか?!
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(C)sarapianoこちらの通常のパンチングクロスへと交換。
IMG_4137 posted by
(C)sarapiano鍵盤のブッシングクロスはなにやら革みたいのが貼ってあります。修理したらしきものはクロスが貼ってありますが…。革は初めて見ました。
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(C)sarapiano鍵盤のこんなところに鉛が入ってます。これも初めてのことです。
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(C)sarapianoキャプスタンがあべこべな状態。これではまともに打鍵できません。これも修正。
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(C)sarapiano鍵盤もガッタガタなので修正。おそらくこの年代ですと元は象牙だったのかもしれません。張り替えた跡があります。象牙のピアノは現在海外へは持って出れません。このピアノは時期に南アフリカへまた帰るとおっしゃってました。
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(C)sarapianoアクションの調整、”整調”と呼ばれる作業を全行程行いタッチが均一になってきて弾きやすくなりました。音が出なかった箇所がかなりありましたがそれももちろん解消。
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(C)sarapianoこのピアノは85鍵盤なのですが、この時代はそれが標準でした。AからAの7オクターブ。自然界のものや法則は7が多いので本来ピアノもこれが自然な形なんだと思っています。
IMG_6248 posted by
(C)sarapianoそう、このネジが何のために付いているのか最後までわかりませんでした。これも初めて見るものです。
IMG_0819 posted by
(C)sarapiano調律を何回もして音を上げました。特に低音弦はこまめにひき上げました。この時代は440Hzより低かったと思われるので途中巻線が切れてしまい急遽古巣の工房で巻いてもらいました。
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(C)sarapianoこのピアノは来年には海を渡り南アフリカへ帰っていきます。ピアノ教師をされると言う娘さんに引き継がれこれからも代々使われることを願います。
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